ビッグ・バンド・ジャズ

2013年はビッグ・バンド・ジャズということで一体どんな音やノリを欲しがっているのか、最後まで分かりにくいという印象でしたが、不慣れなことをやっておくのも目的の1つですのでこれはこれで良かったのではないかと思います。

アレンジが難しすぎて、これが「大きな古時計」であるということを言われるまで気が付かなかったというオチがあります。と言うのも普段接しているのはロックやポップスばかりで正直ジャズは苦手です。どの辺がジャズの良さなのか、ツボが分からないのでデータをどのようにカッコよく仕上げればいいのかという点でハンデを感じます。それが自分にとってのジャズ。

苦手と言うだけではなく、譜面の中に見慣れない用語や記号も多くありましたので更に厄介に思えました。譜面を書く仕事を生業にしているのに分からないことだらけとは。。生きる世界の違いを感じました。

見慣れない記号などについてはポイント解説的な資料がありましたので熟読しました。解説は概ね、記号の説明や楽器の特性、奏法について、ジャズとは何ぞやというものを説くもので、MIDI検定と言うよりもジャズ講座、自分にはちょっとtoo muchでした。きっとアレンジャー先生がジャズ好きであるが故に「ここを分かって欲しいぞ!」という思いが強かったのでしょう。それがこのようにマニアックな文面になった要因かと思います。

解説の内容をかいつまんで説明すると、まず「SWINGについて」「強弱について」などノリに関する事、また、「スクープ」や「ターン」と言った普段ポップスやロックではあまり使わないような音楽用語(記号)についての説明があります。記号については「こう書いてあるときはこのように置き換えてデータ化する」というような譜例までついていました。

因みに私が普段書いている採譜の譜面と言うのは、聞こえたものを聞こえたままのリズムや音程で音符にするというのもですが、このジャズの譜面はそうではありません。例えば「ターン」ですが、パートによって、あるいは演奏しているメロディー・ラインによって、それぞれが付け加える音が異なってきますし、リズムやテンポによってもニュアンスの付け方は人それぞれに解釈が異なってくるのです。完璧に指定されていないからこそ難しい。正しいというものがないからこそセンスが問われる。答えがないものを創作するためにはイメージが必要でしょう。それがこの年の受験者を大いに悩ませたに違いありません。試行錯誤して出来上がったデータがアレンジャーの意図しているものに近く、気に入られるレベルであれば得点につながるということでしょうか。

<感想1>
とは言え、その解説にあるもの全てを反映したデータが作れるとは自分には思えませんでした。答えのないものはすべて最終的には自分の耳でジャッジして自分のセンスで仕上げるしかない。アレンジの意図が100%理解できなくとも、自分のセンスで一定のレベルに持っていかないといけない。早い話が言葉や記号であれこれ言われても結局のところは100%は分からない。お手本が無いのですから、自分が気持ち良い音を作るしかない。自分のイメージをどこまで広げられるか、それだけだと思いました。

話を戻します。

解説を更に読み進めていくと「トランペットの倍音列構造」(一体これは何のために必要なのか理解できませんでした)や「楽器ごとにポルタメント奏法のやり方が異なるのでデータの作り方には注意せよ」みたいな事まで書いてあります。前述の内容から引き続きこの辺りもとてもマニアックです。

これらは結局のところ何が言いたいかと言うと、MIDIデータをよりリアルなサウンドに仕上げるためには実際の楽器の構造だとか奏法だとかをとことん深く理解しておく必要があるという事なんですね。

<感想2>
しかし、実際に触ったこともない楽器については恐らくどう足掻いてもイメージしきれないでしょう。例えば実際のトランペット奏者が吹くような音をMIDIデータで作ることは誰にとっても難しいでしょう。CC#をどう駆使すればその音が出せるのか。「科学する」と言っても無理がある、自分はそう思いながらこの解説を読みましたし、この資料についての講義を視聴しました。全くもって自分には無理だろう。それが答えでした。MIDIを用いてより本物らしく、それが試験のテーマの一部ですが、一方でクラブミュージックやYMOのような音楽も存在する。機械には機械にしかできない無機質なサウンドの方向性もある。その良さを活かせるような使い方を目指すMIDI検定はこの段階では存在しませんが、ゆくゆくはその方向に行く事もあるのかもしれません。

<余談>
私は以前に、エドワード・ヴァン・ヘイレンのようなギター奏法をMIDIで再現しようとしたが自分の感性では全くそんなことは無理だった、という経験をしていました。リアルさに関して、特にギターは無理、という思いが強い。ピックとギターを持てばすぐにできるような簡単なパワー・コードも、リアルにMIDIデータで再現することはできないのです。少なくとも20年前は。出来たとしても凄く時間が掛かってしまうか、全くできない、またはシンセにしか聞こえないのです。それは正に非現実的な作業、挑戦だと言わざるを得ない。そんな経験から、この検定の解説を読んで、リアルな表現については「ちょっと無理だろうな」と思ってしまったのでした。

「リアル」とは本当に高いレベルで言うリアルです。本物か作り物か分からない、そのレベル。そもそもDAWの使い方すら満足に分かっていないのに、そこまで求められるだろうか、との思い。ですからここは「入力したら自然に本物のニュアンスが出る」というような優秀な音源が必要だと真っ先に思いました。

「物理モデリング音源」とか言うものでリアルさを実現できそうですがどうなんでしょうか。詳しくは分かりませんがとにかくリアルさはそれら優秀な音源にお任せするとして、自分は自分のできることに集中・没頭すべきなんだろうなと悟っていました。もっとも、例えばそれら優秀な音源で手軽にリアルさを再現できるとして、この検定の為に追加投資して新たに音源を揃える必要があるのかないのか、そこは予算と完成度によってそれぞれが検討する余地があるでしょう。

話を戻します。

上記の理由から、自分の力量ではリアルさという点で多くを望めない、それと同じように、ロック出身の者がこの試験の為だけにジャズを深く理解しようと思ってもせいぜい「にわか」の域にしか到達できないだろうと思いました。ですから苦手なものを無理やりやるのではなく、現在自分が持っているロックやポップスのフィーリングをジャズに投影・反映させていく方向で臨む方が良いのではないかと思いました。音楽はどのジャンルにも共通の「躍動感」のようなものがある。自分のロック魂もまんざらでなく、「ロック」が「SWING」になる可能性もあるのではないか。そんなマインドで臨もうと考えたのがこの頃、検定本番の5ヶ月前、2019年の3月中旬でした。

<2013年課題曲練習 挫折・問題点>
そんなこんなで色々あって実はこの曲の練習は途中で挫折して投げ出しました。
この曲がMIDI検定1級挑戦の記念すべき初練習だったのですが迷わず投げ出しました。

Finaleで作った譜面をLogicに読み込んだ段階で、自分のやり方が間違っていたことに気が付いたからです。殆どすべての作業を初めからやり直した方が早い。そのために一旦放り投げたのでした。

この曲は例えばアルト・サックスが2人、テナー・サックスが2人、トランペットが4人というように楽器が重複しており、メロディーも単にオクターブ違うだけ、また、ハーモニーが異なるがリズムが同じである、と言った似通った構造が至る所に見て取れます。ベロシティーやエクスプレッションも同じように流用できる部分が多いので、まずは基本となるパートだけを入力して、コントローラーなどを含む全データをまとめてほかのパートにコピーしていく手法が良いのではないかと考えた。その後に音が異なる部分だけを手直ししようとしたわけです。

特にコントローラーが苦手だったので何度もやりたくなかったこともあり、そのような思考になりました。しかしこの考え方がそもそも間違っていたと後で気が付いたのでした。
まず、Finaleでデータの基本を作るのはこれまで通り変わりません。その際に「これとこれは後でここからコピペする」とメモしておくような感じで骨組みを作った。ところが出来上がったのが穴だらけのスカスカの譜面になってしまった。しかもFinaleでロクに楽器名も付けずに作業していたので、Logicで読み込んだ時にトラック・ナンバーも上も下も何もかも分からなくなり、どれがどのパートなのか分からなくなってしまいました。メロディーもリズムも似たものばかりだし、しかも全パートがピアノの音色で鳴ってしまったりして気が狂いそうだった。

これではダメだ。それで一旦投げ出すことになりました。一旦曲の最後まで入力したのに、その時間は殆ど無駄になりました。がその先に要領を得ましたのでこれが上達の第一歩になりました。発見が多い失敗でした。

まずはFinaleでしっかりと楽器名を設定しておくこと。これは2級2次の時には必要性を感じていなかったですが、1級ではやった方が良い。というかこの練習でやり方に気づいたので、データを整理するため、分かりやすく並べるためにもしっかりと設定してから出力すべき。

具体的にはFineleで付けた楽器名がLogicではそのままリージョン名として表示されるということ。それをこの時初めて知りました。そこまで行って、この曲は一旦投げ出す。気を取り直して2015年のブラス・バンドのマーチに取り掛かったのでした。

<2015練習曲>