バンド・スコアはイントロからエンディングまで全てのパートが統一されたアレンジと解釈の下で成り立っているのが好ましいのは言うまでもありません。

例えばキーボードとギターを別々の人に採譜させると、コード・ネームの解釈が異なる場合などが出てきます。ギターを中心にコード・ネーム付けするのか、それともキーボードか、このような問題が至る所で発生してきます。このように音楽的な解釈が2つも3つも存在するとき、誰の解釈を採用するのかは大きな問題です。

そもそも1人1人音楽の経歴や楽曲に対する理解の差、仕事に対する姿勢の違いなどがあります。どの解釈も”正解”と言える場合もあるでしょう。いずれにしても常に判断していく作業が付きまとうのです。「あとで誰かがまとめてくれるだろう」というような無責任な姿勢も論外ですし、責任感があってもそれぞれが独りよがりの意見を持っていても収拾がつきません。しかしこのような見解の相違に遭遇した経験は山ほどあります。

いつでもどんな時でも気心の知れた仲間と一緒に組んで仕事をしているわけではありませんので、音楽的な解釈の擦り合わせを図るための時間も場所も設けることはできません。このような仕事のやり方では結果的に時間コストがかさみ、妥協が生まれ、統一感のない煩雑なスコアになってしまう。ですがそれは絶対に避けなければなりません。

ですからバンド・スコアの形態においては「ギターだけ」や「ベースだけ」などと言ったパートごとの仕事はありません。全パートを一人で仕上げていくスキルが常に求められるのです。

それとは別に、納期に間に合わせるために10曲の仕事を2人で5曲ずつ分けるなどということは良くあります。これを見ている皆さんが仕事を受ける時、殆どの場合がこのスタイルに当てはまるでしょう。この場合、例えば「左チャンネルのギターをいつもギター1に記入していこう」など、仕事を始める前に簡単な打ち合わせが必要です。そう言った統一事項はこちらでまとめておきますのでそれに従って作業を進めてください。もちろん統一事項以外の例外的な音や曲も必ず存在しますので、そんなときは分かりやすくシンプルになるよう臨機応変に対応してください。いつも”読者ファースト”を心掛けることが何よりも大切です。